臨床で骨折などの外傷に対しての治療にお困り方必見です!!
今回は北海道などの雪国では多く発生する足首の骨折についての基礎編です。
冬道などの足元が良くない状態での転倒では、捻挫ではなく骨折までされる方も少なくありません。
そんな足関節果部骨折について
・足関節果部骨折の基礎情報
・介入前に知っておくべきポイント
・理学療法介入のアドバイス
以上の3点についてお伝えしていきます。
足関節果部骨折の基礎情報
<足関節果部骨折の原因>
足部が固定された状態で足関節に内反や外反などの外力ストレスが加わることで受傷します。
跳躍や高所からの転落、転倒により受傷する事が多いです。 色々な骨折や靭帯損傷をまとめて足関節果部骨折と呼びます。
<骨折する部位にて診断名が変わる???>
・両果骨折(内果と外果)
➡️Pott(ポット)骨折
➡️Dupuytren(デュピュイトラン)骨折
・三果骨折(内果と外果と後果)
➡️(コットン)骨折
初回の理学療法介入で知っておくべきポイント
まず覚えておくべきことは骨折の分類です。
それを理解することで骨折の程度や軟部組織の状態を推測する事ができます。
また、Drとの共通言語でもあるためスムーズなコミュニケーションを図ることも出来ます。
足関節果部骨折にて用いられる分類は3つです
・AO分類
・Weber分類
・Lauge-Hansen分類
基本はWeber分類であり、細分化したものがAO分類となる。
Lauge-Hansen分類は、最も足関節骨折において用いられている分類ではあるが再現性などに対して争われており、参考程度に把握しておくべきである。 自分の病院のDrが何の分類を用いているのかをカルテや実際に聞いたりして覚えましょう。
<Weber分類>
・Type A
遠位脛腓靭帯よりも遠位
・Type B
遠位脛腓靭帯レベル
・Type C
遠位脛腓靭帯よりも近位
<AO分類>
・Type A
腓骨は脛腓靭帯結合部より遠位で骨折
足部の内転、回外し外側人体に引かれて外果の裂離骨折が起こる
・Type B
腓骨は脛腓靭帯結合部の高さで骨折
足部回外で外旋し距骨に押されて距腿関節レベルで骨折
・Type C
腓骨は脛腓靭帯結合部より近位で骨折
足部回内で外旋し骨折し、脛腓靭帯が断裂して上方で腓骨が骨折 TypeA<TypeB<TypeC の順番で重症度が上昇する
<Lauge-Hansen分類>
足部の肢位-下腿に対する距骨の動き
①〜④はstage分類を示している
・回外-外旋骨折(SER :Supination external rotation)
①前脛腓靭帯の断裂
②外果の斜骨折
③後脛腓靭帯の断裂、後果の骨折
④三角靭帯の骨折、内果の骨折
・回外-内転骨折(SA :Supination adduction)
①外側靭帯の断裂、外果の横骨折
②内果の斜骨折
・回内-外旋骨折(PER:Pronation external rotation)
①三角靭帯の断裂、内果の横骨折
②前脛腓靭帯の断裂、裂離骨折
③腓骨骨幹部螺旋骨折
④後脛腓靭帯の断裂、後果の裂離骨折
・回内-外転骨折(PA:Pronation abduction)
①三角靭帯の断裂、内果の横骨折
②前脛腓靭帯の断裂、後脛腓靭帯の断裂、後果の裂離骨折
③腓骨横骨折、斜骨折
割合では、SE型が最も多い
骨折の部位や程度に応じて荷重開始時期や禁忌となる動作が異なります。
例えば、外果の骨折があった場合に足関節内反を早期から行うことで骨折部分に対して離開ストレスが加わります。
ストレスが生じたことで治癒過程が阻害されるということにもなり得るので注意が必要です。
分類を用いてDrと密にコミュニケーションを取ることで、時期に応じた荷重や動作獲得が行えます。
<X線でのチェックポイント>
・内側関節裂隙
➡️3mm以内
三角靭帯損傷の有無
・脛腓関節結合部
➡️5mm以内、健患差2mm以内
脛腓靭帯の損傷の有無
・関節裂隙の間隔
➡️等間隔
脱臼の有無
・腓骨の短縮
➡️健側との比較
腓骨骨折の有無
理学療法介入のアドバイス
足関節果部骨折後は滲出液の貯留や修復に伴う肉芽組織の増殖に伴う筋・腱の癒着が生じやすい。
早期に足関節周囲筋・腱の動きを出し癒着を防ぐ必要がある。
しかし、組織の損傷はそれぞれ違う。
例えば、
SER型とPER型のⅣが最も不安定性が生じやすい。
特に骨幹膜の損傷により脛腓間の安定性が低下している事が多い。
➡️骨幹膜に付着する筋・腱の癒着が生じやすいと予測できる
<背屈可動域について>
画像所見から脛腓間の離開があるのか
離開あり:靭帯の修復は6w程度であるため修復過程を考慮した背屈ROMーex
離開なし:早期からの背屈ROMex
<分類から考える予後>
SupinationとPronationを比較すると、Pronationの方が予後不良
typeⅢ、Ⅳmにて予後不良
両果、三果骨折にて予後不良
距骨の転移が大きければ予後不良
脛腓靭帯離開の有無は予後に影響なし
まとめると
予後不良因子は
Pronation、TypeⅢ,Ⅳ、両果・三果骨折、距骨転移となります。
予後不良であるとされる症例の場合は不安定性が強いため、靭帯の修復を優先しながら筋・腱の滑走性は確保しておく必要があると考えます。 拘縮を作らないようにしながら進めていく必要があります。
まとめ
外傷の程度を把握する事で事前に予後が分かり、更に損傷している組織に目星がつけやすくなります。
分類を覚えていく事でそのような事が可能になるのでぜひ何回も復習して下さい!
皆さんの臨床の一助になれば幸いです。
参考文献
標準整形外科学
日本骨折治療学会
日本整形外科学会
足関節果部骨折の治療成績 2013
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