みんな興味があるはず、“大腰筋”です!!
大腰筋は学生の時にならう「股関節屈曲の主動作筋」というイメージが強いと思いますが、臨床では色々な作用があると考えられます。
若手の頃は大腰筋を効かせられたら良いのはわかるけど、よくわかんない。と思っていましたが、深めれば深めるほどめちゃくちゃ大事な筋肉かも…。と思えるはずです💡
まずは基礎的なところから説明していきますね。
大腰筋の基礎
まずは起始-停止について。
起始:Th12(椎体)、L1〜5(椎体、横突起)
停止:大腿骨小転子
作用としては
- 股関節屈曲
- 腰椎の前弯
- 骨盤の前傾
が広く知られているかと思います。
そして一番意識したいのが「体幹と下肢を繋ぐ唯一の筋肉」というところでしょう。
体幹と下肢を繋ぐ唯一の筋肉というぐらいですから、股関節周囲筋の要にもなる存在と言えます。
股関節周囲筋の要?
大腿筋膜張筋とか長内転筋カッチカチになっている人ってもれなく腸腰筋の効きが弱い印象。
腸骨筋のあたりに圧痛があったり、腹大動脈の脈が強かったり(触知しやすい)。
大腰筋の機能って一般的に言われているよりも多様だと思う今日この頃。
— 渡部 晃大 〜どさんこ理学療法士〜 (@wtakki_0325) June 3, 2020
股関節疾患の多くの方は大腰筋(腸腰筋)の緊張力が低下している傾向があります。
股関節屈曲の主動作筋であるため、そのメインとなる腸腰筋が効かない状態となると代償的に隣接もしくは付近の筋肉の収縮に頼らなくてはいけなくなってしまいます。
大腰筋の出力が50%まで低下すると、代償的に
- 大腿筋膜張筋
- 縫工筋
- 長内転筋
などの筋肉の緊張力が200%まで増大させなくてはいけないという報告もあります。
要するに大腰筋の代わりに他の筋肉が異常なまでに働いてしまっている状態です。
股関節疾患の方でこのような状態になっているのを経験した事があるかもしれません。
でもただ、他の筋肉が代償的に働くだけだと、緊張力が200%まで増大しないんじゃないのか?と思います。
それは3軸での筋肉の作用が関係してくるかもしれません。
MMTの検査で見れる通り、大腰筋は股関節屈曲の主動作筋です。主動作筋=強力と考えてもいいはず。
しかし、前額面と水平面での作用が極めて小さいと報告されています。
代償的に働くと報告されている
- 大腿筋膜張筋、縫工筋は屈曲+外転
- 長内転筋は屈曲+内転作用
上記が合わさって中間位の股関節屈曲を行うため、張力が増大しているのではないでしょうか?
姿勢にも関わる大腰筋
その他の機能としては、姿勢制御の股関節制御にも大腰筋は関わっています。
バランス能力低下+大腰筋筋力低下患者に対して
大腰筋トレーニングを行った際、身体バランスの改善が見られたという報告もあります。
先述した下肢と体幹を繋ぐ唯一の筋肉というところから考えると、
脊柱→骨盤→大腿骨と走行しているため、上半身の重心と下半身の重心を繋ぐ役割を担っていると考えられますね!!
そこで鍵となるのが横隔膜と大腰筋の繋がりになります。
横隔膜との繋がり
横隔膜の解剖
起始
胸骨部:剣状突起後面
肋骨部:第7-12肋軟骨の内面
脚部:右脚と左脚を介してL1-3までの椎体
停止
腱中心
大腰筋は脚部と弓状靭帯と介して繋がっています。
横隔膜の脚とも弓状靭帯を介して連結している。
という事は胸郭の動きとか呼吸にも関与しているって考えられる。そうなると上肢の動きも変わる可能性があるって事だよね💡
— 渡部 晃大 〜どさんこ理学療法士〜 (@wtakki_0325) June 3, 2020
そうです。横隔膜と連結しているという事は呼吸にも影響する事が考えられます。
呼吸→胸郭→肩甲骨→上肢帯
ってざっくりと考えられそうじゃないですか?
もちろんこれに当てはまらないパターンもあると思いますが、この関係性を推論できますし、実際にそういうクライアントもみてきました。
例えば…
肩関節周囲炎でリハビリの指示が出て、問診の段階で
- 便秘傾向
- 胃が弱い(胃腸炎になりやすい)
- 呼吸が浅い(肩で息をしている)
- 俯きがち
- いわゆる猫背
などを確認し、胸郭や肩甲骨周りのアプローチをしたけどもう一押し…。と感じ、そういえば腹部の問題あるかもしれないなと…。
そして腹部をチェックし、硬度があったためアプローチすると”呼吸のしやすさと肩最終域の違和感が改善”したという経験もあります(だいぶ端折っているのでご愛敬でw)。
※大腰筋だけではなく、腹筋などの硬さも関係はしてくると思います。
そのような経験を基に、上肢疾患の方にも胸郭-横隔膜-大腰筋の流れを意識してみることもあります💡
上肢疾患にも下肢疾患にも影響する部位なんだなと…。そう考えると、大腰筋ってめちゃちゃ大事じゃないですか!?
まとめ
- 大腰筋の筋出力が低下すると大腿筋膜張筋や長内転筋、縫工筋などの筋肉が代償的に過緊張状態になってしまう
- 横隔膜の脚と連結している
- 体幹-上肢の動きにも影響する可能性がある
ということを今回はお伝えさせていただきました^^
まだまだ大腰筋の臨床的な考えはたくさんあります。
拮抗筋であるハムストリングスとの関係性や骨盤-脊柱の動き、歩行における大腰筋の作用など…w
今回は書ききれないので、後日書いていきたいと思います!
最後までご覧いただきありがとうございました!!
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